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ビデオゲームに関するメモ by competor

2024年マイベストパズルゲーム / BEST PUZZLES 2024

今年プレイした(発売ではない)ゲームのマイベスト。

BEST 12

1. Void Stranger(2023)

倉庫番パズルの一言で表すことができない、インディーゲーム界に時折出現する革命児のひとつ。心が折れるタイミングが何度も出てくる、いわゆる人を激しく選ぶタイプの作品ですが今年のナンバーワン。テキストが重要なので、日本語化パッチを当てましょう。

2. Star Stuff

プログラミングとリアルタイム操作が融合した面白い一作。良質な問題群と、パズルを解くこと以外のストレスが全くないUXのお手本のようなデザインは今年遊んだゲーム中で最も優れていた。誰にでも勧められる良作。

3. Islands of Insight

色々なトラブルがあり商業的に良い結果だったとは思わないが、それでも私はその挑戦的な試み、そしてこの世界が好きだった。発売数か月後の大型アップデートの内容から、今後の追加コンテンツがおそらく無いであろうと予想できてしまった時はとても悲しくなった。ある意味2024年で一番ドラマチックだった作品。オフライン専用となった今では、有志によるプレイ感向上MODが公開されているためそれを入れてプレイすることを推奨。現在開発中の新作パズルにも期待。

4. Animal Well

荘厳な闇と幻想的な光で綾なす、幾層にも重ねられた謎が魅力のメトロイドヴァニア。生まれたての主人公には天敵を撃退する手段が無く、探索で見つけるアイテムはしゃぼん玉やフリスビーなどの子供の玩具ばかり。始終続く孤独な探索に魅了されました。傑作。

5. Leap Year

短時間で終わるメトロイドレイニア。ネタバレ厳禁なサプライズの数々が本作の最大の魅力なので、あれだけバズったのに未だにプレイしていない人は今年中にやってしまいましょう。

6. Lorelei and the Laser Eyes

体験する映画。オカルト、現代アート、カルト映画、数秘術ビデオゲーム、殺人事件、幻想、迷宮、幽霊、そして真実。全てが謎としてあなたに問いかけてくるインタラクティブ映像作品。紙とペンは忘れずに。

7. Delicious Donut

ソーセージライクな高難度3次元倉庫番パズルの新作。余計な味付けをせずドーナツしか出さないというシンプルさと難しさが両立したとても良くできているパズル。収録問題数の少なさに物足りなさを感じさせない、圧倒的な作問力に脱帽。

8. Abdec

LOK Digitalが好評なLetibusによるパズルブック。LOKと同様のルール解明系パズルであり、その高品質さは相変わらず。LOK Digitalが合う人なら必ずこちらも気に入るでしょう。ところで、LOKブック版(PDF版)には、LOK Digitalには収録されていない「新ルール」が存在するので、LOKが気に入った人は探してみませんか?

9. Sokobrawn

相変わらず最高のパズルクリエイターであるSteven Millerの最新作(余談ですが氏はStar Stuffのレベルデザイナーとして参加しています)。倉庫番の前提を破壊するコアメカニクスとそこから生み出される多数の物理現象。コンパクトながらもじっくりと悩ましい良作。

10. The Court Of Wanderers

回転盤という独特なメカニズムを用いた、よく練られた65問のパズルの宮廷。BGMもなく、オープンワールドである意味もなく、集中すべきは目の前のパズルだけというストイックなスタイルが好印象。各パズルにはこのポイントに気付ければ解けるという明確な作意があると思われるのですが、それらがとても巧妙なため、偶然解き終えてからそれに気付くこともしばしばあり。箱を目的地に運べば完了では無く、主人公の帰路も確保しなければいけないのが大きな悩みどころ。ゲーム中盤からは悪意の塊のような追加ギミックが出てきてとんでもないことになります。

11. The Talos Principle 2 - Road to Elysium

昨年発売されたタロス2本編では物足りなさを感じた各ギミックの応用問題集。3篇に分けられており、それぞれにしっかりとテーマのある知識の拡張体験ができて見事でした。

来年発売される初代タロスのリマスター版にはレベルエディタが搭載されているとのことなので、いずれタロス2にも同様の機能が追加されるのでしょう。来年はタロス専門チャンネルになるかもしれない。今後の展開に期待!

12. 並行パズル邂逅記2

どこかで見たことがあるペンシルパズル、だけどなにかルールが違う、という並行世界でペンシルパズルを解いていく作品。質も量も満足しました。また来年もやって欲しいなあ。

 

ピックアップ

次点

13. BOBOGRAM

ただのNonogram(ピクロス)のようだが…何かが変だ。ひらめきが気持ちいい「真のルール」解読パズル。複数人でワイワイ考え合うのもおすすめです。

14. EPIGRAPH

7つの遺物に刻まれた文字のみが現存するNari語を解読しよう。Chants of Sennaarより硬派な言語解読者体験ゲーム。

15. Evergrowth

マインクラフトで3D倉庫番パズルを作ってしまった凄い作品。パズルとしても面白いギミックがあり、マイクラであることを抜きにしても普通に良作。

16. Stig

カジュアルそうな雰囲気をしているがしっかりとパズルな良作。新しい知見をハイペースに提供してくるのがPatrick's Paraboxにも似たプレイ感。簡単ではないが、難しすぎることも無い、ちょうど良い解き心地の良作。

17. Not math puzzle

Baba Is Youオマージュな数式作成パズルですが、Baba本編のような「何それ!」となる組み合わせが多数詰まっている力作。あーはいはい算数になっただけのやつね、と思った方は是非実際にプレイしてみてほしい。この驚き体験はBabaで感じたものと同じはず。なんと今年の11月に追加エリアが登場したため、一度プレイした人ももう一度ダイブ。

18. Mooselutions

引き算の美学のような最小限のギミック達が、その相互作用により論理的でありながらも複雑な状況を生み出す。全49面と小粒でありながらも、満足度の高い一作。

19. Hempuli's Tiny block-pushers

Baba Is Youの作者はコンスタントに新作ゲームを投稿しているのだが、今年はその勢いが凄まじく、年内だけで30作以上の変形倉庫番パズルを発表した。どれも彼らしいギョッとするギミックが仕組まれており、倉庫番のお約束をいかに壊すかが毎回楽しみだ。これ、来年も続くの?

20. Nina Birb's Sokoban

新人パズル作家Nina Birbの作る倉庫番パズルは、他ではあまり見たことが無い、倉庫番を一段メタに昇華したかのようなギミックなのが注目ポイント。心の底から、この人は面白いものを考えるなあと感心しきり。来年の活動にも期待。

 

チャレンジングパズル枠

今年は、自分が最後まで遊べなかった(投げ出した)作品はベストに入れない方針にしました。が、それはそれとしてお薦めしたいチャレンジングなパズル。

A. Entwined Time

B. I wanna Lockpick(2021)

C. Leaf's Odyssey

D. Maxwell's puzzling demon

 

選ばれなかった者の話

そしてこういう作品を薦めるうえで下記のような記事があることも忘れてはいけない。

Outer Wildsの中にはたくさんのSF的センスオブワンダー、目の覚めるような驚きに満ちた瞬間、いくつもの発見の楽しみがある一方で、多くのそれは自分の能力不足により得ることは叶わなかったはずのものだ。

この宇宙には本来、自分のようなプレイヤーが存在する資格はない。

やっぱり、謎が解けないとバカにされてる気がしちゃうのかな。正直、頭がいい人がドヤ顔で問題を見せつけてきて、解けたら解けたで「はい、よくできました(笑)」って言ってるイメージが浮かんじゃうのかも

子どもの頃に意地悪なぞなぞを出されたときのことを思い出すんだよな。俺にとっての謎解きとかクイズって、昔から「無知な俺をバカにするための遊び」だったからさ

一人だけ愚痴言っててもしょうがないか、という気持ちと、いやこんなん無理だよってもっとみんな文句言っていいじゃん、という気持ちがある。

こういう話をして、「いや、自分は問題なくやれてますが?」みたいな顔されると金閣寺に火でも放ちたくなる。自分にとってはこの気持ちが高難易度パズルゲームをやってるときに感じる暗い情念の正体なのかもしれない。断ち切らなくてはいけないのか。

難しいパズルは難しいので解けない。だから辛い。当たり前なのですが、ゲームが自分を、開発者が自分を拒絶したような感情を抱くのもまた事実。レビューで皆はこのゲームを絶賛しているが、私は選ばれなかった側だ。勝てばうれしい、負ければ悲しい。そんな争いが嫌で始めた一人遊びのパズルゲームでさえこの感情と向き合わされるのか、結局。解けない問題をモヤモヤしながら眺めていると、自分は馬鹿であることを現在進行形で露呈され続けているような情けなさと苛立たしさ。なんで俺はわざわざ時間を割いて苦しい行為をしているんだろう、という空しい感情。それら”暗い情念”と今後も付き合いながら、それでも私はパズルゲームをこれからも遊んでいくのでしょうか。

 

新しいヒントシステムの話

ヒント機能を実装しているパズルゲームは少なくないですが、ヒント機能って「そんなこと知ってるよ馬鹿」か「それはもう答えだろ馬鹿」の2種類しかなくて結局使いにくいんですよね。ですが、下記のようなヒントシステムは嬉しかった。

Croquet Conundrum

自分の行動の中で、「もっともゴールに近かったのはこの瞬間でしたよ」ということを教えてくれるヒントシステム。これ、プレイヤーのプライドを傷付けない画期的なヒントシステムだなあと思ってとても心に残っています。だってそこまでは自力で進めていたわけだし。このゲームにはよりライトなヒント機能もあるし、他にも、過去に自分が発見した全ルールがいつでも確認できるように一覧化されていたりして、「今の何だったの?」や「そういやそんなテクニックあったね」というプレイヤーの”非理解 or ド忘れ=続行不可能” な状態になるのを防止するのに役立っており、とことんプレイヤーに寄り添った情報を提供してくれている。一人でこれらを発明したのは凄い。

Islands of Insight

全てのペンシルパズルがハンドメイドである本作だからこそ出来た、作問者が想定した「次の1手」を提示してくれる、"Foresight"ヒントシステムペンシルパズルってそれに気づくのに時間かかるんよなーという所をピンポイントで助けてくれる神機能。

 

パズル特化のデータベース

参考にどうぞ。

Thinky Games database

思考パズル特化の海外サイト。今一番活発なので要チェック。

老船长的游戏推荐——Steam游戏

中華圏プレイヤーのパズル熱がアツいらしいが、情報を取りに行けない。

 

おわり

本記事のフル版はこちら。

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良いお年を。