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ビデオゲームに関するメモ by competor

ゲームデザイン一家言おじさんになりたくないので、思想は全部この記事に書いてしまおう / He is the Angry Videogame-Design Nerd

♪ He is the Angry Videogame-Design Nerd.

ゲームデザイン一家言おじさん = 現代の怪物

徐々に成ってるんですよ私が。これに。ただの1プレイヤーであるお前に、ゲーム制作の何がわかるんだよ!おい!ということで、自分の思想をいったん全部ここに残してしまい、今後はこういうことをクドクドと講釈を垂れたりしないようにしようね。基本的に思考型パズルゲームにおけるデザイン自論集です。それ以外のゲームジャンルでは通用しないことがあります。文体はバラバラです。

参考リンク集

まず先人の発言を聞こう!パズルゲームクリエイターの知見がタダで共有できるのは大きい。

パズルデザイン系

チュートリアル

  • ひとひねりあるチュートリアルが至高。The Golem, Conveyor Con-fusion, The Fish Fillets 2, Give Up the Ghost 等が好例。
  • プレイヤーを悩ませるチュートリアルは、チュートリアルの役割を果たせていないのでNG。The Witness系、Instructionless系は特に注意。悩ませないためには、別解・別解釈があり得ないようにする、総当たりでも数回で済むようにする、別のパズル内に盛り込まない、等。
  • (続き)別解釈を潰すのは難しいけどね。The Witness の初見プレイ時に、色分けを「白マスと黒マスの間には線を引く」ルール、と誤解釈してしまったので後で困った経験あり。テストプレイのフィードバックは第三者の視点が得られて貴重。
  • 全操作を最初に1画面で全部見せるやつ、情報を一気に浴びせることになるので結局プレイヤーは基本動作以外は覚えてないよ。(Jam作品は不問)
  • 普通のパズルステージ内に、唐突に初出ギミック・新テクニックを混ぜるのは、基本はNG。プレイヤーからしたらそんなの知らないので、「頭が悪くてパズルが解けない」と勘違いしてしまい、不要なはずのストレスを生み出すことに。また、その初出ギミックの動作確認がしたいだけなのに毎回そこにたどり着くまで同じパズルを解き直さないといけないのは非常に不親切。
  • (続き)でも、うまく機能すると、考え抜いた際にプレイヤーが絞り出して自力で発見したテクニック!俺凄い!っていう効果も得られるから一概にNGですとは言い難い。Baba Is You に多い。
  • 良かったか悪かったかを判別する方法として、それに気づいた時のプレイヤーのリアクションが「アハ!」ならOKだが、「ハァ?」なら、それはおそらく良くなかったのだろう。

A good puzzle has an ʻAHAʼ moment. A bad puzzle has an ʻO RLY?ʼ moment. (→Video)

ギミック

  • メタパズルはみんな大好き。大謎はみんな大好き。違う目的で何度も解き直す大問はみんな大好き。
  • 迷路は誰がやっても大体同じなので面白くはないよ。頭は使わないのに時間ばかりが掛かるのでヘイトされがち。視点がFPSだと最悪。
  • MYST系の各パズルが、どこかで見たことあるやつばかりだと凡作。スライドパズルとか数字合わせとか回路接続とか倉庫番とか一筆書きとか……。

「よっしゃ!ボクの大好きなパズルを詰め込んだ、超パズルアドベンチャーゲームを作るぜ!」

倉庫番、ライツアウト、ハノイの塔…

(@Hempuli https://twitter.com/ESAdevlog/status/1571175993867386881 )

  • 隠し通路は絶対にやめてね。隠し通路は、『一つでも存在させてしまうと、今後そのプレイヤーは、ゲーム中ずっと隠し通路の存在を考慮に入れ続けなければならない』からです。これってつまり、結局は『全エリアの全チェックをプレイヤーに強いている』ことになる。製作側にそんなつもりはなくて、ただの一発ネタだったとしても、プレイヤー側の心理はもう汚染されてしまい、戻らない。(本編に全く関係の無い要素であれば、隠し通路、隠し部屋があっても許せるかな。The Talos Principle のような。ただし、「本編に全く関係がないかどうかをプレイヤーが正しく判断できる」ならね…。)
  • 騙し要素(Red Herring)は、それだけが目的だったらダサい。一見Red Herringに見えて、解く過程で実は想像もしないような使い道があるんだよ!というのはちゃんと固有の目的を持っているから上質でアリ。
  • 即死要素、歩数制限、制限時間のギミックは全部ストレス!移動床とかの待ち時間も無駄!
  • アクションパズルでは、アクションシーンとパズルシーンは完全に分けよう。どっちも盛り込んだ面は結局プレイヤーにストレスを与える。やるんだったらアンドゥ機能を充実させよう。
  • ジャンプ可能なパズルには、アクション要素はどうしても入っちゃうのだけど、アクション失敗してパズルがやり直しになるのは好きじゃないよ。Recursed君!
  • 「一定時間操作しないことで解答が現れる」やつ、それが存在するというヒントを事前に提示しないと、ゲーム中にポーズを押さずに離席した一部の人だけが偶然発見する悪問になってしまう。ElecHead…。
  • ポイント&クリック系、ぶっとんだアイテムの組み合わせで驚かせるのがやりたすぎて、プレイヤー側で理屈で答えが出せなくなり結局組み合わせ総当たり作戦になりがち。どうなの?
  • 完全理詰めなパズルゲームってあんまり無い(Hexcell, Delete, RYB とかのロジックパズル由来の作品はある。全然違うのに理詰めになってるのは Return of the Obra Dinn くらい?)。高度な倉庫番は突き詰めると理詰めにならざるを得ないケースはあります。でも「唯一解を持つ ≠ 理詰めが可能」な気はしている。
  • ゲーム外部の知識を必要とする謎解き(チェスのルールとか元素名とかノーヒント暗号入力とか)は、思考型パズルゲーム内に入れるには相性が悪い。それはパズルではなくてクイズ。CPUではなくてDB。
  • 謎解き、単なる言葉遊び以上のものを提供してくれ!

難易度

  • 難しいパズルを作るのは簡単だけど、難しくて面白いパズルを作るのは困難。
  • デカい盤面は悪。最少要素で最大に複雑なものがエレガント。
  • 自由度=苦痛度。プレイヤーの思考を誘導するために、あえて制限要素を付与して自由を奪おう。
  • あるパズルの肝となる謎(ボトルネック)は、1つの面に一か所だけで良い。プレイヤーに「ここさえ分かればゴール出来る」って安心させること。あまり良くないのは、「ここが分かったけど結局次の謎が解けてないから、今の解き方でゴールまで行けるのかよう分からん」ってなっちゃうこと。たまにはこういう面を出してもいいけど、毎回これだとプレイヤーが疲れてしまう。難易度曲線のピークを連続にし過ぎない。
  • (続き)Patrick's Parabox や Bonfire Peaks で見られる、1面1面を凄くシンプルな構成にして、1つひらめけばすぐ解けるようにすることで、パズルが解ける瞬間の快感を大量に味わえるタイプのゲーム、最近キテる気がする。真逆なのはStephen's Sausage Roll や ゼリーのパズル 等の全然解けないじっくりパズル。
  • 「面倒臭い」を「高難度」と混合しないこと。1つの面で同じ作業を3回以上やらせては駄目。レガシー倉庫番は、ただ運ぶ手数が多いだけの単純作業面が多い傾向がある気がする。
  • 「理不尽」を「高難度」と混合しないこと。大体は、ただの説明不足。もしくはプレイヤーへの嫌がらせ。
  • 「総当たり」を「高難度」と混合しないこと。こうなってしまった時は、問題の適切な課題設定をミスっているか、出題順が早すぎてプレイヤーが必要スキルを身に着けていない可能性がある。
  • 一番難しい問題は、ラスト問題として出すのではなく、脇道のEX問題として出した方がいいよ。エンディングにたどり着けるプレイヤーは多い方が良い。ラストまでパズルを楽しめて、まだ体力が残ってるプレイヤーを実績要素という名の甘い蜜で引き寄せてから、EX問題で存分にボコりましょう。「あんた物足りないんだろ?もっと難しいのほしいんだろ?VELCOME!」
  • 最初に膨大な選択肢が待っているパズルは、1手目が一番難しくてあとは消化試合になりがち。逆に「なぜか最後に一手足りなくなる」タイプは良問の予感。
  • 充分よく練られたパズルゲームであれば、1ギミックに対し数問程度でも満足できる。総数300問はやりすぎ。全く同じテクニックで解ける面が複数ダブってるので削ってしまってよい。ステージ数の多さは質の粗さと比例する。スマホパズルなんかは特に!Crate Mates はそれがあって飽きてプレイやめちゃった例。Patrick's Paraboxは逆にうまくいった例で、こっちはガンガン解いてるパズル・ハイな状態にプレイヤーをうまく誘導できたから。
  • つまり、難しいなら少なく、簡単なら大量かつ単純かつ常に新鮮に。劇場映画もinstagramも、我々はどちらも楽しめる。
  • クイズ・謎解きは、ターゲット層を明確に提示すること。この層は、ざっくり分類すると、小学生→中高生(英単語を含む一般常識レベル)→専門家→たけしの挑戦状(解ける人が世界に数人程度) の4段階になる。難易度調整が下手な謎解きは、この世の神羅万象が考察対象となってしまうので挑戦状になりがち。解けるわけがない。

UI系

  • 色覚異常者向けの補正オプションは欲しい。色じゃなくて形で区別できるようにしたBean and Nothingnessや、色情報をアイコンに変換したFilamentやSOLAS 128 は良い例。ちなみにColorADD という、色を共通記号で表せるようにするプロジェクトはある。
  • 色に複数の意味を持たせない。SOLAS128で、ミラーは白色で光を反射する、壁は白色で光を反射しない、となっていて混乱した。
  • 色要素のみに意味を持たせない。Jelly Is Stickyで、黄&青、黄&白はくっ付き合うのに、黄&赤はくっつかないルールがあるが、何故そうなるのかという理由は無く、とにかく覚える以外に解決策が無い。Patrick's Parabox のクローン箱は、色の薄さでのみ識別可能で、最初からそういう色の箱なのか、クローン化している箱なのかが見分けられない箇所があった。εみたいに、Cとかダッシュとかの記号で表記するオプションがあってもよいのにね。
  • ヤバいパズルはすっとぼけた見た目をしているジンクス。ゼリー, Baba, Sausage, Snakebird, Room to Grow, Bean 等。
  • 倉庫番系のグリッド移動パズルでのキャラ移動アニメーション、カットするオプションを付けてほしい。この待ち時間、何?ってならなかったの?A Monster's Expedition はこのあたりのデザインがとても秀逸。アニメーション中でも次の入力を受け付けていて、入力直後、瞬時に次のマスに移動していてストレスフリー。
  • ポイント&クリック系、見えにくい所に隠れてるこのアイテムを見つけてクリックしないと次に進むフラグが立たないやつ、製作者はウォーリーを探せの対象年齢から成長できてないのか?
  • 言語が日本語版しかないのは勿体ないなあ…と感じてしまう。英語表記でitch.ioでリリースすれば、世界中の人が見る可能性がある(≒海外の人にも作品を紹介できる)のに、なぜ人口の狭いunityroomで、日本人向けのみで終わらせてしまうのだ…勿体ない……。自分がThe Witness系の非言語依存ゲームに強く関心があるのもこのあたりが理由かもしれない。
  • 結局、パズルゲームに言語は不要なのか?(とはいえ、その思想が行き過ぎて、かえって分かりにくくなっているオプションメニューは反省すべきだと思うよ。)

UX系

  • プレイヤーが操作できない時間は最小にすべき。スマホゲームのリザルト表示アニメーションとか全く不要なのに、みんな実装したがるのが不思議。
  • 無制限アンドゥ機能は絶対に付けるべき。アクションパズルであっても、途中の状態を自動スナップショットして呼び戻せる機能(Control:Override、Nintendo Switchのメモリダンプ巻き戻し機能)や、逆再生して任意の地点から再開できる機能(Toki Tori)などがある。プレイヤーの試行錯誤を妨げるようなデザイン(頭からやり直し)はダメ。
  • 初回起動時に、タイトルでオプションが選べずにプロローグシーン見せられるやつ嫌い。音量とグラフィック設定してないのに勝手に始まるなBGMがうるせえな!初回起動時のデフォルトがMAX音量やめてくれ!
  • 全画面表示のみのゲーム、嫌。モニターがデカいので疲れる。
  • ある1ヵ所で詰まるとその先の面に進めなくなるリニアタイプの全体マップは止めた方が良い。複数から選択可能 かつ 半分クリアで次エリア開放 くらいが良い。The Talos Principle はこの辺の作りが上手。PuzzleScriptなら、レベルセレクター付きのカスタム版のほうが無難。
  • 「次のエリアを解放するには、あと〇個のレベルを解く必要があります!」うぜ~!とっとと先見せろや!プレイするかしないかは俺が決めるんだから。このケースは、プレイヤーがこう感じてしまった原因を取り除くことの方が重要で、難易度曲線がヌルくて飽き始めている場合が多い。
  • 現在のエリアを全問クリアできないと次のエリアに進みたくないプレイヤーが存在するので、「現状では解けない謎解き」や「超難問」を序盤に配置するときは、よっぽど慎重にやろう。そもそもアンロックできないようにしておくか、「絶対に今は無理」って事を馬鹿にも分かるくらいあからさまに表現しよう。
  • パズルゲームとは、つまるところ、製作者とのパズルを通じてのコミュニケーションである。
  • 何故プレイヤーはこのパズルを解かされているのか?という本質的な問いに回答を用意してあるゲームは良い。Portalは実験のため、The Talos Principleは人工知能の育成のため、The Turing Testでは侵入者から施設を守るため 等。SF世界な作品はちゃんとしがち。
  • パズルゲームにストーリー、別に不要なんだけど、”パズルプレイを邪魔しない”前提で、ストーリーがあるんだったら加点対象になるって感じ。Recursive Ruin は数分間のストーリーパートを強制的に見せられて飛ばせないので非常に煩わしかった。Bean and Nothingness はストーリーを追うかどうかをプレイヤーに委ねてる(ストーリーを一切追わなくてもゲームプレイに支障が出ない)のが見事だった。Relicta は、Tabキーで過去のダイアログ一覧を後から見直せるのが良かった。
  • ゲーム終盤に、プレイヤーに究極の問いをして選択肢を選ばせるやつ、あんまりやらない方が良い。そもそもストーリー読み飛ばす派、英語読めないからストーリー理解してないよ派、選択肢出たら結局どっちも見る全網羅ゲーマーだよ派など、理由は様々。

おわりに

こんなことしたら、Youtubeのゲーム実況で話すことが無くなっちゃったよ。とほほ。

内容の書き漏らしや新たな気付きがあったら、この記事を随時更新する予定です。